夕方の光があまりにやさしくて
デジタルカメラの高画素かが進む中で、それとともにレンズの性能もかなり上がってきたと言います。例えば、「開放からキレキレの写りを見せる」というレンズ評は、ほめ言葉。確かにキレキレで高精細な写真を見ると、すごいなぁと感じるのは確かであります。
しかしそんなキレキレの写りばかりを見ていると、なんだか圧倒されて疲れてしまうこともあります。そういったときは、その対極にある、ふわっとした柔らかさが癒やしになる。
RAW現像でやわらかく加工しても良いのだけれど、そうじゃないんだ。シャッターを切った瞬間に感じるあの瞬間に、ふわっとしたのだ。ぼけているというのではなく、やわらかく、ふわっとした感じ。そして、そこにゴーストが入ろうが、何が入ろうが関係ない。自分の心象風景と、カメラが映し出す風景とが重なる瞬間こそが、写真なのだから、それでいいのではないか。
【撮影後記・雑記】
GW最終日。と言っても私は暦通りなので、もうすでにGWは終わっていましたが、ちょっとまだ休みの気分をギリギリまで味わいたくて、写真を撮りに行きました、近所ですけど。
普通に、いつもの標準ズームを付けてぶらぶらしようかと思って出かけたのですが、なんとカメラに付いていたレンズが、キャノンのオールドレンズ。ジャンク品で購入したものですが、あまり使う機会がなかったのであります。そんなレンズが不満を持ったのかどうか分りませんが、なぜかカメラに付いていたのであります・・・。
まぁ、それも良いかと思ってそのまま戻ることなく出かけました。
それがとても良かったのか、なんだかふわっとしたやさしい絵ができました。ゴーストのようなものが出たって、それも味。今の自分の心を現わす味なのであります。
【撮影機材】
OLYMPUS OM-D E-M1
キヤノン 50mm F1.8(1950年代に発売されたLマウントレンズ)
LEICAライカL39レンズ→マイクロフォーサーズマウント アダプター
夜の妖艶なる訪問者
月が必要以上に明るい夜。
ぶらぶらと街を歩いている。
カメラを持っているなんて、なんて怪しいけど、昼間持って出歩いていたから仕方あるまい、その帰り道なのだから。
今日の夜は明るい。
そしたらネコに遭遇した。
月の明りと、電灯に照らされて、妙にこちらを見てくるではないか。
【撮影後記・雑記】
オリンパス機についているアートフィルターを使って撮ってみたら、“妙な”感じがさらに引き立って、ネコの持っている独特な妖艶さが演出されたようだ。
本当は、夜な夜なカメラを持っている怪しい訪問者に、ネコのほうがビックリしているのだろうけど。
【撮影機材】
OLYMPUS OM-D E-M1
OLYMPUS M.ZUIKO ED 12-40mmF2.8PRO
団地にも春がやってきました
前の東京オリンピックで出来た団地。まだちらほら住んでいる方もいるようですが、そろそろその役目を終えるのでしょうか。個人的には、ずっと残してもらいたいものの一つなのですが。
団地が建って数十年の間に、団地にはいろいろな植物が植えられ、そして毎年それらが花を咲かせたりと、季節の顔を見せてくれます。
そこに人が住み、そこに猫が住み、そしてそこに街がある。
どれだけの人が笑い、どれだけの人が悲しみ、どれだけの人が祝福したのか。
いろいろな人々の思いを残したまま、ここはタイムカプセルのような感じであって欲しい。
【撮影後記・雑記】
猫を撮影しに行ったのだけど、猫はいなかった・・・。でも、そこでは春の訪れを告げる桜が咲き、そしてうぐいすもやってきていた。マイクロフォーサーズで60ミリという画角は微妙に使いづらいのだけど、マクロも使えるこの一本を持って、一本勝負で出かけてみたのでありました。
【撮影機材】
OLYMPUS OM-D E-M1
OLYMPUS M.ZUIKO ED 60mm F2.8 Macro
デザートいっぱいな感じで
表参道で仕事をした後、カフェの前を通る。
ここは先月できたお店で、ロンドンから初上陸らしい。日中はけっこう並んでいるようなので、人気があるようです。
そんな人気店も夜はまだ入りやすいので、並ばずにも入れそう。
ということで、カフェよりもお腹が空いたので、何か食べ物があるだろうと入店することに。
しかし・・・
うーーん。。
あまり食べ物メニューはありませんでた(^^;)
サラダは豊富な感じなので、サラダ好きにはいいかもしれないけど、がっつり食べたい男の人には不向きな感じ・・・。カフェの利用か、軽い飲みといったところかなぁ。
で、食べるわけではないのだけれど、スイーツがきれいだったので写真を撮ってみたのであります。
【撮影機材】
OLYMPUS OM-D E-M1
OLYMPUS M.ZUIKO ED 12-40mm F2.8 PRO
びっくりぽんなお話し
国産レンズメーカーで、こだわりの生産を続けているSIGMA。
SIGMAはレンズだけではなく、Foveonセンサーと呼ばれる他のメーカーにはないイメージセンサーを使用したカメラも作っています。今主流になっているベイヤー方式では現せない独特な質感をFoveonセンサーに求めて、SIGMA製のカメラを使う人は少なくないのではないでしょうか。
そんなSIGMAが、新しいFoveonセンサーを採用したミラーレスカメラを出すというニュースがありました。他に趣味の無い私にとっては、これはとても大きくて、期待感の高まるニュースだったわけですが、出始めは高いだろうし、だったら一世代前のSD1が型落ちで安くなるだろうし、そっちでもいいかな?なんて思ったりして、改めてネットからカタログをダウンロードしてみたのです。
で、ここからがびっくりぽんなお話しなのです!
カタログに掲載されている写真は、ペルーで撮ったもののようなのですが、やはりFoveonセンサー、深い質感で撮れているなぁと思いながらめくっていったところ、うん!?え!?と、一枚の写真に目が留まりました。
その写真がこちらであります。
で、実はわたくしめ、3年前に新婚旅行でペルーに行ったのですが、その時に当然ながらいっぱい写真を撮りました。今まで仕事一辺倒で、海外旅行も久しぶりでしたから、とにかくいっぱい撮りました。
いっぱい撮りながらも、いい写真(というか、いい光景)は脳裏に焼き付いているものであります。
そこで、このSIGMAのカタログにある写真を見た時、瞬間的に、自分が撮った写真を思い出したのであります。
それがこちらなのであります。
構図はほぼ同じ。そして、写っているおじさんも同じなのであります。
いやはや、なんともびっくりぽんではありませんか・・・。
地球の裏側で撮った写真が、これほどまでに同じになるとは・・・。
それにしても、このおじさんはどうしてここにいるのでしょうか。
どこか遠い地方からやってきたのでしょうか。
誰かを思い、何かを思い、こうしてクスコのアルマス広場までやってきたのでしょうか。そして、この十字架に何を願っているのでしょうか・・・。
自分がおじさんの写真を撮った時、どこか寂しげな、何かを憂いた様子を感じました。そしてSIGMAのカタログに載っていた写真と比較してみると、さらにおじさんが何かの理由でここにたたずんでいることを感じ、切なくなるのであります。
【撮影雑記・後記】
4年前はオリンパスのPL2しか持っていなかった。レンズも、ダブルズームレンズキットに付いていたもののみ。今思うととても非力な感じではありましたが、それでもしっかり写っているし、今でも時々使ったりしています。当時撮った写真も、カメラの非力さは全く感じません。
SIGMAのカタログの写真と比較すると、ちょっと立体感は欠けるかもしれませんが、色合い的にはPL2の方が目の前の光景の色に近いです。当時はRAW現像というのを知らなかったので、JPEGでしか保存していません。もしRAWで撮っていてそれを現像していたら、SIGMAに劣らない質感も少しは表現できたかなと思ったりも。
どっちがどうということではありませんが、目の前の光景をそのまま写し出そうということだけ考えれば、カメラの個性ってなくなっているのかも、そう思うと、ほんとにカメラって何だろうなって思います。それよりも、やはりカメラを操る側の人間の心象風景の切り取り方が写真なのかなと思うわけであります。
【撮影機材】